時代にそぐわないPTA。加入率の低下と役員選びの難航が原因で従来どおりの活動が限界に達し、PTA解散の動きが全国的に拡大しているそう。
お金も発生せず生産性がない事は、みな嫌がって当然です。前からずっと言われてきたことで遅すぎるくらいですが、これはいい流れですね。
やはり活動の見直しやスリム化を計らないと、無理がたたって限界が来るのは避けられません。
(極論すぎるかもしれませんが)法治外とされる学校の問題をなんとかして、働く母親の負担を減らさないと、少子化に歯止めはかからないでしょう。
前例踏襲主義。もはや慣例行事をこなすだけの団体
世の中にはPTAに限らず、無駄に集まって一日持っていかれるような時代遅れの団体や組織がたくさんあります。
自治会の婦人部や子ども会、消防団、スポ少の諸々ボランティア、地域のスポーツ協会……。
いずれもマンパワー不足で従来どおりの活動を継続するのは難しいとわかっていながら例年通りの規模で行おうとするから無理が生じるのです。
ボランティアは本来、無理をしてまでやるものではなく、各自が「やれることをやれる範囲で行う」のが基本だったはず。
しかし現実は、不毛な前例踏襲主義そのものです。
私も過去にいくつかの役員を経験しましたが、何かを変えようとしても「旧態依然とした感情的な先人たち」の反感を買うだけで、行事は「やらなきゃだめなもの」、決め事は「守らなければならないもの」という厚い壁が立ちはだかります。
その結果役員は、苦行のような無償労働を強いられるのです。
役員は自費で強制参加
何年か前、あるスポーツ連盟の役員を務めたことがあります。
主な仕事は審判も含めた試合の手伝いですが、競技種目によっては参加者が集まらない場合があります。
「集まらないなら中止すればいいだろう」となるのですが中止にせず、役員が選手として駆り出されます。もちろん自費で。
他にも地域の体育館にオリンピック選手を招いての試合があったとき、「チケットを売り捌け」とのお達しがあったのですが、チケットは思うように売れず、観客席はガラガラ。
すると役員用のユニフォームから私服に着替えて観客席でサクラを演じて人数合わせをさせられるだけでなく、大量に作成したパンフレットまで買わされるという「これはギャグ?何かの罰ゲーム?」みたいなこともありました。
かつて所属していたクラブも似たようなものでした。
そのクラブもPTA同様、毎年の役員決めは難航し、退部者続出です。そう遠くない将来、限界を迎えるでしょう。
組織維持のための行事
自治体婦人部の行事も似たようなもの。
フラワーアレンジメント教室の開催が決まってたので、回覧板で参加者を募りましたが一向に集まりません。
「集まらない」ということは「求められてない」ということで、それはイコール「不要な行事」と判断すればいいのにそれをしません。
今までやってきたことだから協力するのが当然です!
一部の暇なやりたがり屋の高齢者、家から出かける言いわけが欲しい人、誰かと話してストレスの発散をしたい人たちからの説得にあい、役員が自費で強制参加させられます。
こうなると元からの目的である「地域住民のための行事」ではなく、「組織を維持するための行事」でしかありません。
そこまでして無駄な行事をやる必要がどこにあるのでしょう?
あってもなくても大した問題が起きない行事なら不要としたほうがいいと、何度思ったかしれません。
オペレーター思考の典型
この役員を務めた後に私は婦人部を抜けました。
やればやったで人の繋がりも生まれるので悪い面ばかりではありませんでしたが、そこまでして役員を必要とする意味を感じなかったのと、生活する上で婦人部の必要性がないと判断したからです。
すると数年後、再び婦人部の役員から連絡がありました。
役員のなり手がいないの。誰か連れてきてくれない?
これは「嫌なことを他人に押し付けろ」と言ってるようなもの。実際に自分がやって嫌だと思ったから婦人部を抜けたのに、役員候補を連れて行くだなんて、そんなことできるわけがありません。
「嫌だけどやる」より「嫌だからやめる・嫌なことは他人に押し付けない」方が、はるかに健全です。
しかし相手はそうではなく、「自分たちがしてきた苦労を下の世代が引き受けずに楽するのは納得いかない」という考えがどこかにあるのだと思います。
これは「少しくらい苦労しても、先人から引き継がれた手引きを厳密に継承するのが正義」というオペレーター思考の典型です。
しかし「苦労まで引き継げ」というのはただのエゴであることを本人はわかっていません。
伝わらない相手には何をどう言っても伝わらないものだと、世代の違いによる価値観のズレを痛烈に感じたのは言うまでもありません。
今は過渡期
PTA解散の動きが契機となって、他の組織や団体にもいい影響が出ることを祈ってます。
国としても共働きできる社会になるよう推奨している以上、いつまでも専業主婦が多かった時代のやり方に固執する組織など、消えてなくなったほうが世のため人のためです。今はそのための過渡期かもしれません。
あと数年もすれば、解体・現体制の見直し・スリム化・外注など、工夫を重ねて生き残る組織と、天寿をまっとうしてひっそり消えてなくなる組織とに分かれていくはずです。
本当に必要なものだけが生き残る。そんな時代が一日も早く訪れることを祈ってます。