地域型スポーツの高齢化と過疎化について

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少し前に限界集落の移住に失敗した若いご夫婦のYouTubeが話題になりました。

コメント欄に目を通すと「過疎化するには理由がある」という意見が数多く寄せられていました。

それを読みながら、私はこれとは全く違うジャンルの過疎化した世界を想像してました。私がかつて所属していた地域型スポーツ競技の世界です。

目次

不毛な前例踏襲主義のツケ

私がいたクラブは特に深刻です。若い部員は次々と辞めていき、残っているのは65歳以上の高齢者ばかりで、バリバリの現役部員は肩身の狭い思いを強いられている状態です。

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スポーツと年齢の関係は残酷で、ハードな競技ゆえ高齢者ばかりになればチームが弱体化するのは火を見るよりも明らか。それに危機感を覚えた私は数年前に「私がクラブのサイトを作るから、ネットを活用して若い人をもっと募集してほしい」「仕事を持つ人にも活動しやすいシステムにしてほしい」と希望したのですが、「そんなことをしなくても、今までやってこれた」とネットにうとい高齢部員はそれを面倒くさがり、いい顔をしませんでした。

そう、彼女たちは今までやったことがないことには特に慎重だし、どんなことにでも口出ししたい性質ゆえ、自分の知識が及ばない分野・自分が中心になれない分野を忌み嫌い排除したがります。先代から引き継がれた方法をきちんと継承し、それに厳密に対応することが正義で、やったことがないチャレンジやか改革にはことごとく後ろ向きです。

それを推し進めようとすれば、「ないがしろにされた」と僻んで嫉みます。

それから数年。新しいものを受入れない排他的な思考、不毛な前例踏襲主義のツケが今、形になって表れているのです。

地域型スポーツも高齢化の一途を辿る

数日前、親しくしていた部員たちに会い、クラブの現状を聞きました。

私が辞めてからも数人の部員たちが辞めていき、今も仕事を理由に辞めたがっている退部希望者を必死に引き止めている最中だそう。残った高齢部員たちはようやく危機感を募らせ「辞めていった部員に、また戻ってもらおうか」などと話し合ってるとか。

なぜ辞めたのか。その場ではみな無難な理由をつけて辞めていきますが、辞めるには辞めるだけの理由がちゃんとあります。

それを改めようともせず、我が身を振り返ることもせず、自分たちが困るからまた戻ってきてほしいなんて、その厚かましさ図々しさに思わず笑っちゃいました。その場しのぎの近視眼的な対症療法しか思いつかないとは、呆れて物も言えません。

過疎化した限界集落同様、魅力的なクラブなら部員は減らないはずです。呼び込むまでは優しいですが、入ってしまえば年功序列の密室の世界。徐々にいろんなマウントを取ってくるのは言わずもがな。

覆水盆に帰らず。仮に戻ってくる物好きがいたとしても、よほどの奴隷脳でもない限り、いずれまた同じことを繰り返すだけです。

外部役員は働く主婦には負担でしかない

そのクラブではいくつかの連盟組織に登録しています。

この外部役員の選出が毎年の悩みのタネで、それはPTAと似たようなもの。連盟などと立派な名前がついてますが、要は苦行のような無償の労働に頼る任意加入団体のこと

いずれは外部役員も出せなくなるから「今のうちに登録をやめようか」という話も出ているそうで、それならただの同好会に格下げではないですか。

そうやって将来的な発展を完全に諦め、本気でスリム化する方向にシフトするつもりなら辞めた人をアテにするような発想には至らないはずなのに、そんなご都合主義の意見が出るということは、同好会への格下げはプライドが許さないという理由に加え、役員候補の働き手が欲しいだけというのが偽らざる本音でしょう。自分たちが面倒な役職から逃れるために。

無駄な延命措置より新規設立を

冒頭に挙げたような天寿をまっとうしようとしている限界集落は、無理やり存続させようとするより、時代の流れとともに静かに地図から消え去る方が自然なのかもしれません。

それと同様、昭和の感覚そのままの、時代錯誤な専業主婦を主体としたクラブのやり方を、令和になってまで働く主婦に押し付けようとするクラブなど、無駄な延命措置などせずに、ひっそりと消えてなくなった方が次世代のためです。

一度完全に解体し、若い世代だけを集めた時代に沿ったクラブを作った方がはるかに建設的で合理的ではないでしょうか。

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