社会問題にもなっている他人を許せない「正義中毒」の人。
いますよね、こういう人……。記事後半で触れますが、筆者も過去に遭遇しました。
人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人など、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。この快楽にはまってしまうと、簡単には抜け出せなくなり、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになってしまいます。著者は、この状態を正義に溺れてしまった中毒状態、「正義中毒」と呼んでいます。
『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)より引用
正義感を抱くのは悪いことではありませんが、自分の価値観から少しでも外れた人を攻撃対象に選び、正義を盾にして叩くのは、害悪以外の何ものでもありません。
ところが本人は「自分こそ絶対に正しい」と信じて疑わず、正義を振りかざして徹底的に「悪」を懲らしめようと攻撃します。パワハラ・モラハラ気質がある自己愛者ほどこの傾向は特に強いです。
この記事では正義を盾にして攻撃してくる人の特徴と対処法をお伝えします。
攻撃することが目的で「正義」はただの免罪符
自分の属する集団を守るために、他の集団を叩く行為は正義であり、社会性を保つために必要な行為と認知されます。攻撃すればするほど、ドーパミンによる快楽が得られるので、やめられなくなります。自分たちの正義の基準にそぐわない人を、正義を壊す「悪人」として叩く行為に、快楽が生まれるようになっているのです。
『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)より引用
正義は人それぞれ。自分には自分の、他人には他人の信じる正義があります。立場の違いだけでなく、歴史を見ても、時代によって正義の位置付けや捉え方は大きく変化しています。
ところが正義中毒の人は物事の決めつけ方が極端な白黒思考で「敵か味方か・善か悪か」しかなく、しかも少ないデーターで結論づけます。
そしてひとたび敵認定すれば、理由なんてなんでもいい。攻撃することだけが目的になります。
人の脳は目的を定めると、それに付合したことだけを追い求めます。日々粗探しに明け暮れ、どうでもいいような些細なネタを見つけ出しては身勝手な正義感を振りかざし、「悪を倒すスーパーヒーロー」にでもなったつもりでターゲットを追い詰めていきます。
側から見ればただのイジメ。ところがやってる本人たちに罪悪感はありません。なぜなら「正義」という最大級の免罪符を手にしているからです。
中毒者が中毒者たる理由
好きか嫌いかだけで終わらせればいいのに、「アイツは悪いヤツだから、みんなで攻撃して懲らしめよう」という方向に持っていくのがイジメです。
しかし本人はその自覚がなく、それどころか世のため人のために悪を倒すヒーロー気分になって「正しいことしてる自分、すげー」となるのです。
ひとたびその快感を知ってしまうと、さらなる快感を追い求めるので攻撃はエンドレスに続きます。
このように「正義」といういとも美しく聞こえの良い言葉は、善悪の判断を麻痺させる効能と、「断罪する権利が自分にある」という特権意識への幻覚や陶酔をもたらすようで、これこそが中毒患者の典型な症状。早めの受診をオススメします。
正義を盾に攻撃する人の特徴
以下は筆者が過去に遭遇した正義を盾に攻撃する人の特徴です。
特徴
- 世間体や人からの目を気にする
- 正しい人・立派な人に見られたい願望が強い
- 世間の規律からはみ出ない行動を心がける
- 語る内容は使い古された道徳本そのもので、薄っぺらく画一的
- 口癖は「私たち」「みんなもこう言ってる」「あなたのため」「みんなのため」「◯◯すべき」「常識的に」
- 言い訳の天才、ただし言い訳が通じなくなると被害者ぶる
- 口答えを許さず、他人をコントロールしたがる
- 常に同じメンバーで行動したがる
「正義」という名のドレス
正義を盾に他人を攻撃する人は、世間体や体裁が第一。
独善的で攻撃的な内面を隠すために「正義」という名の美しいドレスを身に纏い、他者から見たときの自分は「常に正しくきちんとした人」と思われるような言動を意識し、集団内での規律や秩序を忠実に守ろうとします。
几帳面で勤勉だからではありません。それまで自分が集団内からはみ出た者・足並みを乱す者を排除し攻撃してきたからこそ、自分がその枠からはみ出たら「次は自分がやられる!」という危機感からです。
このように後ろ暗いところのあるイジメ大好き人間の反応はとてもわかりやすく、そしてもれなくレベルが低いのが特徴です。
言い訳の達人
いくら正しい人っぽく振る舞おうとしても、元々正しい人ではないし、人間常に模範的な行動ができるわけでもありません。たまに失態を演じてしまうこともあります。
そんなときは怒涛のような言い訳が始まります。
あれは仕方がなかった。アイツが悪いんだから正当防衛だ
仲間たちも加勢します。
よくほかの組織でもお偉いさんが失言した時にその人だけを責めますが、その組織に失言・暴力・パワハラ等を「許す環境」があるから後を絶たないわけで。
組織というのは問題を起こした人物に対し、いさめる人のあるなしだけではありません。そういう言動を「正しいことだ」と言いくるめる周りがいなければ、その発言や行為が許されることはないはずです。
だからこそ、いつも同じメンバーで行動したがるのです。自分一人では不安でたまらないのでより結束力は強まります。
正義を盾に攻撃する人への対処
相手はイジメ攻撃をすることだけが目標の中毒患者です。可能なら逃げましょう。
本来なら中毒患者を隔離するのが筋ですが、そんな当たり前の理屈が通じる相手ではありません。
逃げることが無理なら、その集団内では空気になることです。
このような処世術を駆使して、自分に害が及ばないことだけを考えましょう。