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映画「万引き家族」はつまらない。だけど余韻が残る力作

映画「万引き家族」はつまらない。だけど余韻が残る力作

カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した話題作「万引き家族」を観てきました。

話題の映画ということで各レビューを読んでみると、賛否両論意見は真っ二つです。どんな感想を抱くかは個人の自由。面白いと感じる人もいればそうでない人がいても当然です。

私の正直な感想。それは、決して面白いストーリーではない。けれど、余韻が残る力作といえる映画だったということ。

これ以降、極力ネタバレしないように気をつけつつ、その理由を書いていきます。

俳優陣の演技っぽくないリアルな演技が素晴らしい

まず、キャストの顔ぶれが素晴らしい。圧倒的な存在感のある樹木希林さんはじめ、リリー・フランキー、安藤サクラ、ちょい役の柄本明、緒形直人など、実力派俳優が勢揃い。

各自の演技してない感のある演技が凄い。

リリー・フランキーの情だけは深いけど、万引きしか教えられないダメおやじっぷりといい、安藤サクラのうらぶれた感といい、社会の底辺でうごめく人たちの生活をリアルに感じさせてくれます。モノに溢れた小汚い家で、肩を寄せ合って暮らす人たちの汗臭さと生活臭が、そのまま漂ってくるような錯覚を抱きました。

セリフ一つ取っても、教養も品も感じられないぶっきらぼうな言葉ばかり。

だからこそ、口は悪いけど仲はいいという”家族”の姿をリアルに感じるのです。だけどその実態は、偽物の”家族”。

二人の子役が素晴らしい

特に光っていたのは「翔太」役を努めた城 桧吏(じょう かいり)君と、その「妹」役である佐々木みゆちゃん。

佐々木みゆちゃん演じる「ゆり」役と、「もうおねがいゆるしてゆるしてください」と書き残した目黒の船戸結愛ちゃんを重ねて見ている自分に気づき、途中で胸が苦しくなりました。

共に5才、体中にある傷も同じ。

ゆりは”血の繋がりのない家族”から買ってもらった(調達?)水着がよほど嬉しかったのか、お風呂に入る時まで水着を着ていました。一方優愛ちゃんは”戸籍上の家族”から真冬に風呂場で冷水を浴びせられたり、早朝の風呂掃除を命じられたりしてました。

ゆりが好物と知れば”血の繋がりのない家族”は、ゆりのためにお麩を調達するのに対し、”戸籍上の家族”は、優愛ちゃんに十分な食事も与えず、最後は自力で立ち上がることもできないほど衰弱して、息を引き取ったと報道されています。

家族って、いったいなんでしょうね?

そう。これが、この映画の最大のテーマです。

正解はひとつではない

血の繋がりが絶対とされる現在の常識としては間違っているかもしれない。

でも人として、心情的には正しいというそんな法律ができれば、虐待死する幼い命が今より減るのでは?なんて思いました。

平坦なストーリーゆえドラマ性は弱いけど、ドラマっぽくないドラマで、泥臭さと息遣いがそのままダイレクトに伝わってくる、そんな映画でした。

今は時期的にゆりちゃんにばかり気持ちが傾いてしまったけど、時が経って観た時に、また違う感想を抱くかもしれません。つまらないけどもう一度観たいと思う、なんとも不思議な映画でした。

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蒼 じゅりあ
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サイト名の「Un Jour」とは、フランス語で「ある一日」という意味です。日々の記録・エッセイをまったりと綴っていきます。